コミケで実質デビューのpixiv PAY、対面型モバイル決済の“ワクワク”を示す?!

お金をつかう
Image by pixiv

今夏のコミックマーケット(夏コミ)に合わせてリリースされたスマホ決済サービスのpixiv PAY。ITmediaビジネスオンラインが「夏コミの具体的な数字は公開できないが、ちらほら利用している方がいた。想定しているくらいの利用状況だった」とpixiv担当者の言葉を紹介しているように※1、すでに実際の利用が始まっています。

pixivでは「イベント対面決済サービス」と銘打ち、コミケのような即売会での利用を訴求していますが※2、コミケ参加者にはイラストSNSの運営元として知られる企業が投入したサービスということで、当面は物珍しさも手伝って即売会参加者の間での利用が増える可能性もあります。先行する楽天ペイやLINE Payなどのように、スマホかタブレットさえあれば決済サービスを導入できる手軽さも支持される要因となりそうです。

ただし決済手数料が無料となるキャンペーンは年内までで、そこからがサービス本来の勝負となるのでしょう。ここでは、夏コミで実際に利用された方たちの言葉から見えてくるモバイル決済のありようを探ってみたいと思います。

初めての決済でも“楽しい”? pixiv PAY

新しもの好きの方が多数いらっしゃると思われるコミケ。やはりpixiv PAYを利用して「楽しかった」との感想が見受けられます。

上で引用させていただいたツイートは頒布物の対価を支払う立場からの感想ですが、決済機能を提供する出展者としても「ドキドキの体験」だったとの声があがっており、また現金決済での売上データも記録できるレジ機能も便利だとの評価もあります。

出展者によっては利用者ゼロだったり、以下のように利用者が2桁に届く場合もあり、結果は様々だったようです。

夏コミ開始日の前日にリリースされたタイミングの問題もあるので、今後のコミティアや冬コミなどでpixiv PAYの利用が広がるかどうか興味深いところです。

期待される機能面でのブラッシュアップ

決済サービスを提供する側からは以下のような感想もあり、pixiv側の不備への対応や機能の拡充が期待されていることも分かります。

振込サイクルと手数料の問題

時間がかかる売上の振込

pixiv PAYのメリットとして「スマート決済」が訴求され、また今後も機能が改善・拡充されるとしても、決済システムの提供者として見た場合、売上の入金サイクルが「末締め翌月末振込」となっているあたりは弱点となりそうです。

決済がスマートであればあるほど入金処理がこれでは、やはり他サービスに遅れをとっていると見ざるをえません。たとえば、上記引用ツイートで指摘されているように、先行するモバイル決済サービスである楽天ペイでは、取扱い銀行が楽天銀行であれば売上日の翌日には手数料無料で自動入金され、他行なら手数料210円/1回がかかるものの振込み依頼から翌営業日には入金されます。

pixivが即売会イベントの参加者をpixiv PAYサービスの主なターゲットにしているのであれば、やはり小規模出展者の会計事情をフォローするような小回りの効いた「スマート」な精算フローを用意した方が機会損失を減らすことができるのではないかと思われます。

売上の振込手数料

さらに、売上が立った際の入金処理にかかるコストの問題もあります。楽天ペイでは楽天銀行口座なら振込手数料0円、他行口座で210円。ちなみにLINE Payでは引き出しに使う口座へのLINE Money(本人確認済LINE内電子マネー)の振込みには216円がかかります。

pixiv PAYの振込手数料は以下の通りです。

受取金額の総額が30,000円未満の場合: 200円
受取金額の総額が30,000円以上の場合: 300円

(pixiv PAYヘルプセンター:振込申請の手数料を教えてくださいより)

こうして見てみると、キャッシュレス決済サービスを提供する企業には「自社経済圏」以外への出金にコストをかけさせる流れがあることが浮かび上がってきます。ITmediaのレポートでは今後のpixiv PAYには「ピクシブが展開するECサービス「BOOTH」との連携」があるかのように指摘されていますが※1、サービスの拡充しだいによっては、pixiv PAYの出金にコストがかかるならPAYの残高でpixivの関連サービス費用に充当しようという利用者の流れも起きてくるのかもしれません。

決済手数料は業界平均

一方、手数料には肝心の決済手数料もあるわけですが、こちらも業界平均に納まる水準となっています。

上記引用のような観測ツイートもありますが、そこで言われている手数料が決済手数料のことであれば、楽天ペイの場合はクレジットカードのブランドによって手数料が異なってくるので一概には言えません。競合サービスとの比較としてpixiv PAY、楽天ペイ、LINE Payの決済手数料を以下にまとめてみました。

pixiv PAY 1会計につき3.6%+10円
楽天ペイ VISA、Mastercard、American Express、楽天カード:3.24%
JCB、Diners Club、Discover:3.74%※3
LINE Pay 導入から2年間は月額100万円未満無料
月額100万円以上3.45%※4

なお、報道にある通り世界最大のQRコード決済サービスのアリペイが来春にも日本に上陸することになれば、pixiv PAY含め日本のスマホ決済サービス勢は低コスト競争を強いられることになるかもしれません。

当面はニッチで生きる?

とはいえ、そこはpixiv。コミケ参加者には親和的なサービスを提供してきた企業ですから、イベントごとに可視化される要望を拾い上げてサービス改善に結びつけることができれば、「それなら使ってやろうじゃないか」心理で利用が伸びる可能性があります。

コミケのように混雑する場で「現金を持たずに決済できる」利点も大きいはずです(決済にかかる時間は改善の余地がありそうですが)。あるいは出展者が釣り銭の準備にかける手間を減らすといったニーズから支持されていく余地もありそうです。

人の心は一筋縄ではいきません。サービスが伸びるかどうかは神のみぞ知る、という愚にもつかないオチで今回は締めさせていただきます。

もちろん、スマホ決済については今後とも注視していきます。


  1. ITmedia ビジネスオンライン:コミケで「pixiv PAY」使ってみた
  2. ピクシブ:イベント対面決済サービス「pixiv PAY」をリリース。同人誌即売会などのイベント時にご利用いただけます。
  3. 楽天ペイ:決済手数料はいくらですか?
  4. LINE Pay:加盟店手数料について / LINE Pay決済売上額の精算スケジュールと手数料について教えてください。